もうひとつのドットのどくご

どんなもんだ!って笑い飛ばせるように

浅はかだった

歯磨きしようと洗面所に行ったらお風呂に入る前の母が鏡の前に立っていた。

 

 

これ傷15センチくらい?

 

うん。かな?

 

ここ(ワキ)まである。

 

うーん、じゃあ20センチ弱かな?

 

げぇ。

 

それだけのやりとり。

母はただ残ってしまった傷の大きさへのショックを、泣き崩れてしまいそうなやりきれない気持ちを「げぇ」という茶化したような言葉でごまかしただけなのかもしれないけど。

そっか。

なかなか外へ出かけられないこの現状で旅行のこととかあまり考えることがなかったから。

気づいてなかった。

温泉も銭湯も行けないのか。

行けないことはないけどやっぱり行きたくはないよね。

行きたいけど行きたくないよね。

なんかそんなことにも気づいてなかった自分に愕然として情けなかった。

情けなくて悔しくて泣いてしまった。

わたしちゃんとお母さんに寄り添ってあげられるんだろうか。