もうひとつのドットのどくご

どんなもんだ!って笑い飛ばせるように

こころ

今日は抗がん剤治療を一通り終えてはじめての受診でした。

 

積極的に再発を探すための検査はしないと言われているので、血液検査と診察だけ。

 

特になにもなく、抗がん剤治療頑張ったねと先生に言ってもらっておしまい。

 

次は手術から約1年後になる6月に定期検診としてマンモをすると。

 

なんとなく気分が悪いとかじゃなくて明らかになにか異常を感じることがなければそのまま生活していてよいと。

 

やっぱり自分で気づいて検査して手術してってびっくりするスムーズさで治療できたのは本当によかったなと改めて思った。

 

不安が完全に消え去るわけじゃないけど、目の前で元気で動いてくれているし、コンサートに行けたり何十年ぶりに友達に会えたり、フィットネスに通ったり、いい方向に歩めているなと思う。

 

それでもお母さんとしては私よりさらに繊細な不安がたくさん纏わりついているようで。

 

診療明細の腫瘍マーカー検査管理料にあった「悪性腫瘍」の文字でなんだか落ち込んだみたい。

 

んーーー

 

そっかぁ

 

そうよなぁ

 

知らない人からしたらそこ?ってことでも当人にしたら堪えたりするんだよね。当たり前だと理解しているつもりでもつい失念してその度に現実を突きつけられる。

 

これはずっとついてまわる不安だよな。。

 

どうしたらいいんだろ。聴く側は。

 

ひと段落

7月の終わりに始まった抗がん剤治療。

 

4回終わって全部の期間が過ぎた。

 

次の受診はもう年明け。

 

特に定期的に検査して再発してないか探すことはしないんだって。

 

自覚がなければ今までのような日常。

 

あとは体力を戻して元のように動けるように。

 

脱毛して今はぱやぱやな髪の毛だし、体力は落ちた。

 

3クール目くらいから浮腫も出て今は足がだいぶだるくて重くてしんどいみたい。

 

それでも仕事は行ってるし家のこともだいぶやってる。

 

夜な夜な部屋の片付けとかしてるときもある。

 

寝なさいって言うけど。

 

気分の変動もだいぶ落ち着いて穏やかに過ごしてるんじゃないかな。

 

いつかまた具合が悪くなる時がくるのかなというぼんやりとした不安はあるけど、しんどかったときと比べたらずっと元気になったし、そもそも悪いところはもう切ってなくなったはずなので、ほんとにただただこのまま力つけてもっと元気になってほしいなと思う。

 

観たい映画とか欲しいものとか食べたいものとか行きたいところとか少しずつ叶えられるといいな。

 

コンサートはチケット取れなかったけど、、

 

楽しみなことが待ってるといいな。

 

今日はごほうび。

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電話

お母さんが電話してる。

 

おかげさまで気にかけてくれるお友達がいたり、きょうだいとの電話だったりいろいろだけど、その度に聞こえてくる。

 

「先生はいいことは言わないから、再発したら治療法はありませんって」

 

そんなばっさりした言い方ではなかったと思うけど。

 

そうだよ。

 

説明受けた。

 

そういう型だって。

 

そうだけど。

 

でも。

 

同じ型で亡くなった叔母のときと違う。

 

型は同じだけど見つけたときのステージも治療経過も全然違う。

 

そりゃ先生は絶対もう大丈夫ですよなんて言わないでしょ。

 

だけど根治ものぞめますって言ってたじゃん。

 

ステージⅠで全摘してリンパ転移もなかったでしょ。

 

今、再発しないために小さなリスクも潰しておくために抗がん剤治療してるんでしょ。

 

お母さんが電話で話してるのを聞くたびに心が重く覆われる。

 

なんのためにこんなしんどい思いしてんの。

 

元気になったらあれもしようこれもしようって考えてるのになんでそんなお先真っ暗みたいにあっけらかんとした声で話すの。

 

自分にその最悪の場合を覚悟させるためなのか、そんなことはまずない大丈夫だと言い聞かせたいためなのか、わからないけど、気持ちはわかるけど、聞くたびに落ちる。

 

きつい。

 

全部終わって最後に検査してよかったね元気になったねって言えたらいいじゃん。

 

治療が終わってからもそうやって話すのをずっと聞かなきゃいけないのかと思うと本当に気が重い。

 

再発の不安がついて回るのはわかるけど。

 

でもなんか再発待ってるみたいじゃん。

 

なにそれ。

 

きつい。

ビール

テレビで流れたビールのCMを見ながらお母さんが「あービール飲みたい」と言った。

 

なんだかいい兆しなんじゃないかなと思えた。

 

今は抗がん剤3クール目をしてから3日ほど。

 

まぁ動けてる。食欲はそんなにないなりに割としっかり食べれてる方かな。この前血液検査の結果みたらアルブミンだいぶ低くてびっくりしたけど。

 

そんなふうで食べたいものとか聞いてもそんなに出てこないし、まぁ出てくるのは食べたいというか食べられそうなものって感じで、こちらもそりゃそうよねくらいの気持ちでいたので「ビール飲みたい」はびっくりした。

 

でもなんかほっとした。

 

そしてお母さんの状態によって私の情緒もこんなに影響されるんだなという改めての実感。

 

気持ちが落ち着いている。

 

そんな言葉がもっと聴けるようになるといいなという希望を込めた覚え。

 

治療一通り終わったらきっと飲もうね。

つなわたり

蕁麻疹はがんセンターでもらったステロイドと内服では改善せずに近所の皮膚科をすすめられ、結局もひとつ強いステロイドを出してもらってだいぶ落ち着いた。

 

皮膚科の先生もびっくりの状態だったみたい。

 

お母さんが落ち着くと私も落ち着く。

 

でもどこかにずっと不安はついてまわって。

 

すっかりテンション上がる!!とはならない。

 

そりゃそうだと思う。

 

週が明けたらまた次のクールの抗がん剤治療。

 

そこからの3週間、どうかまた今回のようになりませんようにと願う。

 

今回よりきついなにかが発生するかもしれない。

 

また同じようなことが起きて自分には何もできずに無力感に覆われるかもしれない。

 

落ち着いて経過してくれるかもしれない。

 

そんなふうがいいけどそれにはあまり期待していない。

 

先を考えるとどうしても気が滅入る方に傾いてしまう。

 

本人はその比じゃないのにね。

 

全クール終わった頃にワープできたらな。

 

そんなん逃げかな。

 

つなわたりもっと上手になりたい。

お母さんの脱毛だいぶすすんでる。

 

気分も滅入るだろう。

 

落ち込む時と落ち着いてる時の変動が大きい感じ。

 

こちらは訴えを聞くことしかできない。

 

痒みも出てきたみたい。

 

急遽診察してもらったけど改善せず、逆にアレルギー反応みたいの強く出ちゃって夜中に眠れなかったり、お腹の不調とか気持ち悪さとか微熱とか重なってご飯もあんまり食べられないから体力落ちてる感じ。

 

こちらはその都度できる対処のお手伝いをして見守ってお母さんが担ってたことの代わりをするぐらい。

 

たいして何もできないから話は聞きたいと思う。だけどずっと聞いているのは正直疲れる。ぶつけないようのない気持ちが常にあるからかこちらにしたら訳もわからないタイミングで日常の何気ないことでもきつい口調で話されたりするし。ずっと体調どう?って気遣っておそるおそる毎日を過ごすのはなかなか堪える。一番きついのは本人だって、それは他の誰にもわからないことだってわかってる。でも私もしんどい。しんどいって言いたい。何をしててもふとするとぷつりと糸が切れて泣いてしまいそうになったりお風呂で湯に浸かりながらぽろぽろ涙が出てきてしまうことが増えた。

 

抗がん剤、1回目より2回目、2回目より3回目ってきつさは増していくのかな。今の治療は再発を防ぐためのものだから、一定期間抗がん剤が終わったら終わり。ここでひと段落という先が見えてる。悪くなっていくわけじゃない、今を頑張ればまた元気になろうねってそのために力をつけてこうねって思う。当事者じゃないんだからその期間くらい我慢できるはず。でもしんどいものはしんどい。

 

仕事の移動中に音楽を聴いたり、仕事が終わってなんやかんやしたら、本や雑誌を読んだり動画やテレビをみたりTwitterしたりだらだら過ごしてる。うれしいし楽しいし癒されてパワーをもらって元気が出る。でもその時間の合間合間にも具合を伺ったり何かあれば対応したり、当然だけど。ゆるりとした時間がぶちっと断たれる感じ。現実に引き戻される感じなのかな。どこかずっとざわざわしていて心から安らげない。波があるというか段差の大きな階段みたいな感じかな。糸の上を綱渡りしてる感じかな。本人の比ではないし自分よりしんどい人が山のようにいることだって理解しているけど、やっぱり積もるものはあるみたいで体も心もしんどい。

 

綱渡りずっとはできないよ。

 

どうしたものかな。

きた。

脱毛。

 

1回目の抗がん剤治療のあと、寝込むほどの重い副作用は思ってたよりなくて、体重は減り気味だけど頑張ってご飯も食べれてるし、仕事は2回くらい休んだだけで、舞台観にいくことができたことを気分転換になったと喜んでいて、横になっていることは多いけど、日によって気分が落ち込む日もあるけど、毎日今日はどうかな?と様子を伺いながらまぁ元気なんじゃないかなと思っていた。

 

さっき。

 

部屋にいたら風呂を出た母からノック。

 

とうとうきた、と。

 

洗面所に行くとたくさんの髪の毛。

 

洗髪後に拭いていたらパラパラと抜けてきたと。

 

母自身思っていたより元気に過ごせている自覚があったから、髪の毛抜けないかもね、なんて希望的観測も込めて、きっと抜けるんだろうという自虐も入って、言っていたけどやっぱりきた。

 

かける言葉がなかなか見つからなくて「がんばろうね」しか言えない私。

 

「がんばろうね」と努めて明るく応えながら泣いてしまう母。

 

当たり前だよね。

 

背中をさするしかできなかった。

 

近く、風貌が変わってしまうほど抜けちゃうんだな。

 

ほんとにただ見守るしかできないのがもどかしい。

 

なにもできないや。

 

ごめんね。

 

早く時が過ぎてほしいと思ってしまう。

 

あーーもうほんと。

 

役立たず。

 

無力。